古備前を詠む 土色に 美を見出した 古備前よ

古備前はまさに土色との格闘です。いかに土色を美しく出すか。そういう意味で、美しい色絵がほどこされた磁器物とは一線をかくします。こういったタイプの陶磁器は、日本人ならではの感性が作り出したまさにそういったものです。茶の湯が尊ばれ、そこで使われるわびさびの心から生まれる日本人の精神はこのような土色の陶磁器にも見出すことができます。それは桃山時代から脈々と受け継がれ、こうして今にいたっているのです。日本人の感性が凝縮されたこのような陶磁器をこれからも大切にしたいものです。